●三重県立博物館「サミット開催記念 伊勢志摩展」
いよいよ伊勢志摩サミットを目前に控え、県内の至る所で様々な関連
PRイベントなどで盛り上がってきている三重県ですが当工房からすぐ
近くの三重県立博物でも「伊勢志摩」と題された2つの企画展が同時開催
されており、それぞれに見てきました。
貝素材を日々扱っている自分にとっても、海女文化に真珠養殖と、直接
的に貝が展示/言及されている箇所がとても多く、そもそも驚いたのは何と
今回の企画展示が日本書紀の三重県の記述部分をキーワードに始まり、
その“美し国”三重が奈良時代よりアワビを都へ献じていたという資料と弥生
時代のアワビ貝の標本などから成る展示品の第一群を物語の最初のスタート
ポイントに据えて構成されていたことでした。その後、伊勢志摩に残る西行、
円空らの足跡を経て、海上交通と伊勢神宮、そして真珠養殖の父、近代の
御木本幸吉へと、(国宝7点を含む、貴重な多くの文化財も含め)時系列に
展示されていくのですが改めてこの地域がとても古くから海の恵み、特に
貝類と相当に結び付きの強いことが立体的に感じられ、(展示を見る前に
予想していたよりも)ちょっと深く感銘を受けて帰ってきました。
もう一つの「伊勢志摩の真珠」展の方でも真珠養殖、加工販売の方に真珠
層の形成過程の個体差や季節/水温差、宝飾品としての色合いの善し悪しの
基準など、直接丁寧にお話を伺わせて頂いて改めてとても勉強になりました。
普段から伊勢志摩のアワビ貝はインレイ用のアバロンの色味の選択肢の一つ
として用いていますが、(偶然かもしれませんが今三重県でインレイの製作
加工をしていて)そんな中により広い視野で、それらの歴史や文化/風土に
息づいているものを取り込み、咀嚼し、これからどう素材を活かしていくのか、
深いところでたくさんヒントをもらったような気がしています。
連休やサミットと前後して三重県へ来られ、伊勢志摩に興味を持たれた方は
ぜひ機会がありましたら津市の県立博物館へもお運びください。(真珠貝に
アワビもたくさん登場する!)とても力の入った企画構成になっています。
メインの“サミット開催記念「伊勢志摩」展”は6月19日まで、交流展示室での
「伊勢志摩の真珠」展は間もなく5月8日までです。
http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/MieMu/88903000001_00001.htm
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